龍神×紅蓮



とはいえ、悠司の仕事の早さにびっくりする。


未来予知の能力でも持ってるんだろうか…


あたしは、軽く上着を羽織り、車まで急いだ。


車に乗り込むと、すでに準備万端で…


「おはよ、希。じゃあ行こうか」


悠司のその言葉で、短く「はい」と返事をした運転手さんは車を発進させた。


「おはよ」


「希、あいつらにはお前に過去何があったか、話してあるから」


清羅が前を見据えたまま、静かにそう言った。


「っ…そっか」


いずれ知られるとは思ってたけど、まさかこんな形で知られる事になるとは…


汚いとか思われたのかな…


みんなに軽蔑されるんじゃないかって、一気に不安が募る。


「心配する事は何もないよ、あいつらは希の事軽蔑なんてしてない、それは僕らが保証するよ」


助手席に座ってる悠司と、ミラー越しに目が合い、にこっと笑ってくれた。


「ホント、悠司には敵わないや…」


いつだってそう…


何でもあたしの考えてる事は全てお見通し。


それに何度も助けられてるし。


そんなにあたしって分かりやすいのかな、とも思ってみたり。


「ずっと一緒に居ればわかるもんだよ」


何て言って笑ってるけど、あたしは2人の考えてる事なんて分からないし、やっぱり悠司の観察力がすごいんだ。


そう納得したのだった。