「蓮華…」
その正体は蓮華だった。
蓮華も、助けに来てくれたんだ…
しかし、状況が掴めてないため、その場で立ち止まっていた。
一瞬、沈黙になるが、清羅がそれを破った。
「おい、希を連れてけ」
固まっていた蓮華だけど、ハッと我に返ると、あたしの元まで来て腕を掴み歩き出した。
清羅は光輝に向き合ったままだし、光輝はあたしに手を振ってる。
"またね"
誰にも気付かれないように、口パクでそう伝えた。
分かってくれたみたいで、笑顔で頷いてくれた。
あれだけ、光輝に怯えていたのが馬鹿みたい…
本当は良い奴だって事、分かってたはずなのに…
怯えてばかりいたから、光輝の悪い所しか見えていなかったんだ。
本当、馬鹿だな、あたし…
そのまま、何も話さない蓮華に腕を引かれ下に降りると、沢神組の組員に龍神のみんな、そして颯斗と平次が居た。
その周りには鬼塚組の組員達が転がってる。
あたしに気付いたみんなは、
「お嬢!」「希さん!」「希ちゃん!」
それぞれにあたしを呼ぶ。
「みんな、心配かけてごめんね、助けに来てくれてありがとう」
あたしは大丈夫、その意味を込めて微笑んだ。
するとみんなも、ホッとした表情を浮かべた。


