次の瞬間。
竜さんは、玄関の扉を思い切り蹴破った。
派手に壊れ、激しい音をたてる。
2人は靴のまま家に上がり、次々と部屋を開けていく。
僕達はその後ろにしっかりとついて行った。
1階にはいなかった。
2階にあがった、その時…
パァンッ
いきなり鳴り響く銃声。
「来るなっ!それ以上近付いたら撃つぞ!」
2階にいたのは1人の男。
隣のおばちゃんが言ってた通り40代くらいの男。
小太りで、眼鏡かけてて、髭が濃いくて、一言で言うと気持ち悪い。
その男が隠すように立っている白いドアの部屋。
きっとあそこに希が…
「清羅、悠司、下がってろ」
竜さんの真剣なその声で、本当に危険なんだと察知した僕らは、大人しく上がってきた階段を下りた。
上からは激しい銃声が聞こえる。
しばらくしてその音が止むと、僕達を呼ぶ竜さんの声。
僕達は急いで2階に上がると、廊下の隅で倒れてるさっきの男。
鼻血は出てるし、歯が折れてるのか口からも出血してて顔が真っ赤だ。
生まれて初めて見るその光景は、僕達にはまだ刺激が強すぎて、吐き気さえもした。
思わず口元を押さえる僕達に竜さんは、
「見るもんじゃねぇ、そんなもんより希だ」
そう言った。
見るもんじゃない、と言われててもすぐそこにあるのだから、見たくなくても見えてしまう。


