ピンポーン
中から物音はするのに、誰も出てくる気配はない。
ますます怪しい…
「長谷川さーん、いるんでしょー?出て来てくださいよー」
どこかの借金取りみたいに言う竜さん。
ベルを何度鳴らしても何の応答もない。
すると、隣の家から恐る恐る出てくるおばちゃん。
「長谷川さん宅のお子さんなら、昨日出て行きましたけど…」
やっぱり、光輝は一人で出ていったのか…
でも、それなら中から聞こえた物音は一体…?
「じゃ、この家には誰も?」
すかさず翠さんが聞いた。
「いえ、40代くらいの男性が1人。…あ、1週間前くらい前から女の子も来てたわ。長谷川さんとこのお子さんは1人で出て行きましたし」
っ!?
1週間前から女の子が1人。
希がいなくなった時期と同じだ。
僕の推理は当たったのかもしれない。
「乗り込むぞ」
「はい」
竜さんと翠さんの真剣な目つき、声色に僕も清羅も自然に背筋が伸びた。


