ー清羅sideー


希が消えた。


恐らく、自ら光輝の元へ行ったんだろう。


希の事だから、月影と紅蓮の奴らがやられたのは自分のせいだって思い詰めたんだ。


これ以上被害を出さないようにって。


今まで、ただでさえ思い詰めて苦しんでた希。


そこに拍車をかけたのは、あいつ。


「希ちゃんのせいじゃない?」


その一言でどれだけ希が傷ついたか。


何も知らねぇくせに。


無償に腹が立った。


だから俺は、希が走り去った後、渡辺桐に掴みかかろうとした。


「てめぇふざけんなよ!」


でも、すぐに悠司に止められて、殴る事は出来なかった。


「希の気持ちも知りもしねぇで、偉そうな事言ってんじゃねぇよ!」


悠司に止められてなかったら、殴るどころじゃすまなかっただろう。


確実に殺してた。


奴らは俺の殺気でビビって固まってやがる。


これくらいで怖がってんじゃねぇよ。


希は、もっと怖い思いをしてきたんだ。


なのにまた、こいつらのせいで!


「清羅!病院で暴れるんじゃねぇ!」


騒ぎを聞きつけた春日さんが息をきらしてやって来た。


「お前は早く希を追いかけろ!見失うぞ!」


くそっ


俺は、悠司の腕を振り払って、病室を飛び出した。


希、勝手な事すんじゃねぇよ…


ー清羅side endー