すぅ…はぁ…
ダメだ、みんなの前でこんな弱い姿見せちゃ…
あたしは、全国No.1の総長なんだから…
「あたしは光輝の玩具なんかじゃない、もう、あたしに関わらないで」
少し声が震えていたかもしれない。
でも、しっかりと光輝の目を見て言い切った。
なのに、光輝は鼻で笑うと、
「ふっ…希も言うようになったね。ま、嫌でも希から俺に関わりに来るさ」
気味の悪い笑みを浮かべた。
あたしから関わりに行くなんて有り得ない。
「絶対、希は俺の所に戻ってくるから、待ってるよ。またね、希」
静かにそう言うと、あたし達に背を向け歩いて行った。
完全に姿が見えなくなると、倉庫内の張り詰めた空気がフッと和らいだ。
「希さん、大丈夫ですか?」
すぐに駆け寄って来てくれる空雅。
後ろには、みんなの心配そうな顔。
「うん、大丈夫。ごめん、部屋戻るね」
あたしはみんなに背を向けて部屋に戻った。
バタンッ
部屋に戻ったあたしは、一気に力が抜けてその場にペタリと座り込む。
どうして今になって光輝が…
気になるのは光輝の言葉。
嫌でも希から関わりに来る、絶対戻ってくる。
あたしはもう2度とあんな思いはしたくない。
もう顔も見たくないんだ。
そんな事、絶対有り得ないんだから。
この時はそう思っていたんだ。
言葉の意味を理解するには、そう時間はかからなかった。