「お前らみたいな弱い奴らにはこいつらには勝てねぇっつってんだよ、引け」
あたしは桐に向けて強い殺気を込め、はっきりと言った。
桐は驚き、苦しそうに顔を歪めた。
しかし、その発言には桐だけでなく、紅蓮のメンバー全員顔を歪めていた。
あたしだって、本当はこんな事言いたくない。
でも、誰一人死んで欲しくないから。
ごめん。
ごめんな、みんな…
「黒、こいつら連れてけ」
あたしは視線を前の戦場に戻し、そのまま隣に居た黒にそう命じた。
黒は何も言わず頷くと、紅蓮達を引き連れ出て行った。
そんなやり取りをしてる間にもう戦いも終わりかけていた。
「あいつ…」
部屋の一番奥、隠し扉でもあるのか、佐賀が逃げようとしているようだ。
「この屋敷には、裏庭に通じる隠し通路がある、そこから逃げ出そうとしてるんだ」
翠さんも気づいていたようで、静かにそう言った。
「逃がすかよ」
「待て」
銀が走り出そうとした所を翠さんが前を見据えたまま止めた。
「俺が殺る、頭からは許しは得てる、心配するな」
そう言うと、翠さんは佐賀に向かって走り出していった。
父さん…
いつもは、殺すな、処理をするのは警察だ。そう言ってたのに。
でもまぁ、今回の事は翠さんのためなんだと思う。
だからあたし達は、何も言わず、しっかりと翠さんの覚悟を見ていた。


