「君が月影の…なるほどね、面白そう」
って呟いてるのは誰にも聞こえていなかった。
あたしの目の前に来て、しゃがみこむと
「ちょっと我慢してね」
そう言うと、あたしを抱き上げた。
お姫様抱っこっていうやつ。
「ちょっと!下ろして!」
あたしの言ってる事は無視。
「平次君!?そいつは!」
「黙ってくれる?あと、邪魔」
女子達には、さっきののんびりした感じではなく、冷たく言い放った。
「聞こえなかった?邪魔なんだけど、退いてくれる?」
もう1度言うと、奥歯を噛み締めたような顔で道を開ける。
そして、何も言わず歩き出す。
どこに向かってるの?
…てか、誰だよ!