「ん…」
うっすらと開けた瞼の向こうに見えるのは、白を基調としたシンプルな部屋。
龍神の総長室だ。
あたしは真ん中に置かれているベッドに寝かされていた。
目を瞑ると嫌な映像が流れ込んでくる。
「はぁ…」
思い出したくもない、嫌な過去…
5年前、確かにあたし達の前から姿を消したあいつが帰ってきた…
顔も見たくない、声も聞きたくなかった…
あいつはあたしが龍神にいる事を知ってた。
金龍の情報はトップシークレット。
性別以外は公開していないのに、どこで知ったのか…
どこで見られてるか分からない、明日から十分に気をつけないと…
あいつは、要注意人物だ。
コンコン
控えめに叩かれたドアは、あたしが返事をする前に開かれた。
「あ、起きたのか」
入ってきたのは清羅だった。
あたしは重たい体を起こして座る。
清羅も、ベッドの端に腰掛けた。
「ごめんね、心配かけて」
いつも、清羅と悠司には心配と迷惑しかかけてない。
本当に申し訳ない。
あたしが今、ここにいるのは全部2人のおかげ。
2人がいなかったら普通の女子高生をしてたかもしれない。
それはそれで良かったのかもしれない。
でもあたしは、龍神に出会ってしまったから。
だからもう、普通の女子高生なんて嫌なんだ。


