父さんに似てきた俺を、父さんと重ねるんだ。
だから、俺を父さんだと思って殴り続けた。
その日から毎日、母さんは俺の顔を見るなり俺を殴った。
初めの頃は、腹を殴られてばかりで痣が出来ても隠せた。
でもしばらくして、顔まで殴られるようになった。
だから隠すのも難しくなって、とうとう担任にバレた。
もう、これ以上隠す事は出来ないと思った俺は、全部話した。
「そんな事が…辛かったな。でももう大丈夫だ、先生に任せとけ」
担任が家に行って母さんに話をする事になった。
これで俺も助かると思った。
「先に行って話してくるから、お前はゆっくり帰って来なさい」
そう言った担任は、車で先に俺の家に向かった。
帰ったら、もう殴られる事はないんだ。
そう思うと、安心して歩くスピードも上がった。
でも、家に帰った俺は見てしまったんだ。


