龍神×紅蓮



しばらく探し回っていると、建物と建物の間に蹲って震えている洋介を見つけた。


あたしは呼吸を整えながら、ゆっくりと近づいた。


「洋介、大丈夫?」


さっきの事もあるから、傍まで近寄るのはやめて、少し離れた所で声を掛ける。


すると、ビクッと体を震わす洋介。


「あの人達には帰ってもらったから、安心して」


本当に帰ったかは分からないけど、あぁ言ったから潔く帰っていてほしい。


「何があったか、聞かないのか?」


小さな声でボソッと呟く。


「洋介が話してくれるまで、あたしから聞くような事はしない」


無理に思い出さしても、辛いのは洋介だから。


すると、洋介は蹲って顔を埋めたまま、右手をあたしに伸ばしてきた。


え?


握れって事?


あたしは、恐る恐る近付いて洋介の隣にしゃがみこみ、軽く手を握った。


一瞬体を震わす洋介だけど、軽くだったけど握り返してきて、


「俺の過去、聞いて」


そう言って、ゆっくりと話し始めた。