ガチャ


リビングのドアが開いて、颯斗が立っていた。


「希ちゃん、そろそろ帰ろう」


え、もう?


まだ話したい事とかあるんじゃ…


そう思って、冬子さんの方を向くとにこりと微笑んでいた。


もういいわ。


そう言ってる気がして、あたしは大人しく立ち上がった。


そして、玄関を出た所で


「母さん、また来る。蓮華達を連れて」


笑顔でそう言う颯斗を見て、冬子さんは一瞬驚いていたけど、微笑み返していた。


その瞳に光るものが見えたのは気のせいではない。


「えぇ、待ってるわ。希さんもね」


「はい、お邪魔しました」


そして、家を出た。