お願いだから何も気づかないで羽紅。


このままでいいから。


居場所があるだけでいいから。


だから、お願い。


なにも気づかないで。


感情が無いことも。


笑えないことも。


・・・過去についても詮索しないで。


このまま。


もし気づいてても何も言わないでね。


ほかの人には言わないで。


そう思っていた。


「音姉。・・・ちょっといい?二人になろ。」


「う、ん。」


気づかれたかな。


「陸、俺の部屋行ってる。」


「・・・ああ。」


「音姉、行こ。」


私はコクっと頷いて羽紅のあとをついて行った。