私は咲坂音羽―Otoha Sakisaka―


青城高校に通う高校2年生。


そして、全国2位の雷龍―Rairyu―の元姫。


それで、さっき女子たちが話してた愛弥様っていうのが、雷竜の現姫の橋本愛弥―Aya Hashimoto―ちゃん。


二重の大きな目に、ぷっくりとした唇。栗色の腰まである綺麗な髪。透き通るような白い肌。愛弥ちゃんは誰もが守りたくなるような容姿なんだ。


「はぁ・・・」


私はため息をつく。


もう疲れちゃった。


私がなにをしたの?


私がやっと居場所を見つけたんだ。嫌われないように頑張ってた。


もう居場所を無くしたくない。そう思って。ひとりぼっちはいやだった。


だけど愛弥ちゃんが雷龍に来てからはあっという間で。気づいたら愛弥ちゃんがみんなの中心にいて。私は必要なくなってた。


私なんかいてもいなくても変わらない存在になっていて。結局居場所なんて無かった。


でも、みんなに相手にされなくても良かったの。ただただ雷龍に゛姫゛という形で存在しているだけで良かった。だってそれだけで私の存在は確かで。必要だと思えるから。


でもその゛姫゛という居場所も無くなっちゃった。


もう私にはなにもない。私はいらない存在で。


誰も私を必要としてないの。