「青城高校に通う咲坂音羽、高二です。知ってると思いますが、私は雷竜の元姫でした。噂で流れてることは全て嘘です。私は現姫を虐めていません。
すぐに信じることは難しいと思います。でも、認めてくれると嬉しいです。
お願いします!」
そう言って私は頭を下げた。
「・・・顔を上げてください。」
下っ端たちにそう言われて、私は顔を上げる。やっぱりダメかな?
雷竜の元姫だし。悪い噂ばっかだし。こんな私なんか誰も信じてくれないよね。
そんなことを思っていたら、
「俺は・・・認めます。」
「え・・・?いいの?」
「俺は、ですけど。他のみんながどう思ってるかは分かりません。けど、俺は認めます。」
「なんで・・・」
私がその言葉をこぼした時。
「俺も認めます!」
「俺も!」
「俺も!!」
みんなが認めてくれる。
こんなに認められたのは初めてで嬉しい。
嬉しくて涙が出そうなのに・・・もう涙は出てこない。私の涙は枯れはてたから。
でも・・・精一杯の笑顔で。
ううん。私は笑えないから、精一杯の作り笑いで。
子供の時からやってたから誰も気づかない。
でもさ。
全員が認めてくれないとダメなんだよ。
後ろの方にいる人たちは認めてない。
私には分かるんだ。
だって目が学校にいる人たちと同じだから。
信じられないのはわかるよ。だって悪い噂しかないし。
でも、私はあなた達に認めてもらいたい。
「反対の人も遠慮せずに言いたいことを全部言ってください!」
しんと静まり返る倉庫。
陸たちも私の言葉にビックリしてる。
でも、一番びっくりしてるのは。
あなた達。
私が姫になることを反対してた人たち。
私にはわかるよ。
なにも言わなくても、認めてないんだってことくらい。
だってずっと私の存在を認められなかったから。
「言いたいことははっきりと言ってください!」
私の言葉に1人、口を開いた。
