私が突き放してからも、空き教室に来る羽紅達。


私に毎日話しかけてくる。


でも、私は返事すらしない。


だってもう裏切られたくないから。


信じるのが怖いから。


毎日来るからもうあまり怖くない。


羽紅を除いて。


羽紅だけは怖い。


いつもはみんなが話してて、私が壁によりかかってスマホをいじってる。


けど、今日は違った。


「音姉、なんで俺らと話してくれないの?俺らのこと信じてよ・・・。」


「そうだよ音ちゃん!僕はなにがあっても味方だよ?信じて?」


「音羽ちゃん、俺らを信じてみない?」


「・・・いや。」


「なんで?音姉、なんか理由があるの?」


「・・・もう信じたくないの。裏切られたくないの。・・・死んで欲しくないの。」


「え?最後なんて言ったの?音姉。」


「なんにも言ってないよ。私はもう信じたくないの。関わらないでよ・・・」


「お前はなにを怖がっている?」


「っ!」


わたしは俯く。


「大丈夫だ。絶対に裏切らないし、いなくならない。」


「そんなの分かんないじゃん!雷竜にだってそうやって言われたんだよ!でも、裏切られた。・・・人間は裏切るものでしょ?今まであった人達はほとんどの人が裏切ったんだ!!」


「俺らは違う。絶対にうらぎらない。」


「そ、んなの。そんなの分からないでしょ?絶対なんてないんだよ!」


「なら、信じてみればいい。お前は勇気が無いだけだ。人を信じる勇気が。」


「っ!」


「俺らを信じろ。俺らだけでいい。他は信じなくていい。だから最後の勇気を出せ。」


「音姉。仲間になってよ。青嵐の姫になってよ。信じてよ。」


そう言って差し出された掌にわたしは戸惑う。