「起きたんだ?いつまでここにいるの?音姉。俺いくら弟でも殺人犯の姉といたくないんだけど。さっさと帰れよ。」
「っごめん・・・。ごめんね・・・」
泣きたいけど涙が出ない。
この前は堪えたはずなのに。
感情が無くなったから涙も枯れはてたのかな。
「私、帰ります。ご迷惑をおかけしてすみません。」
そう言って席を立とうとした。
けど。
「待て。」
・・・総長っぽい人か・・・。
私は黙ってその人を見る。
「お前が倒れる前、''ごめんなさい。全部私のせい''って言ったよな?」
「?はい」
「お前は親のことを殺してないんだろ?」
「はあ?何言ってんだよ!!こいつが!!音姉が殺したんだよ!」
「そうです。全部私のせいなんです。私のせいで・・・!」
「だからだ。」
「え?」
「''お前のせい''なんだろ?ってことは親がお前のことをかばったんじゃないのか?だから親が死んだ。・・・違うか?」
「っそう、です。でも!!私が・・・私さえいなければ!!誰も死なずにすんだんです!!」
「いいか?お前が殺すっていうのとお前をかばって死んだは違うんだよ。お前は殺してない。お前は親の分まで生きればいい。それだけだ。お前に罪はない。」
「そう、ですね。でも・・・ひとつだけ間違っていますよ・・・。」
「・・・なにが違う?」
「親は私の事なんて庇ってない・・・。親は私に生きて欲しいと思ってない。・・・羽紅なら分かるでしょ?」
「「「は?」」」
羽紅以外の人の声がそろう。
皆私が愛されていたと思ってたの?
愛されていたのは羽紅だけだよ。私は全く愛されていなかった。
ある出来事があってから。
「羽紅。あのこと話した?」
「いや・・・話してない。」
「そう・・・。ならいいわ。」
「私は愛されていないから。愛されていたのは羽紅だけ。あの日もたまたま親が前にいたから助かっただけ。」
みんな驚いている。そんなに驚くこと?愛されていなかった。それだけの事よ。
「私は幸せになっちゃいけないの。・・・もう関わらないで。」
そう言って私は部屋を出た。
