夏の嵐と笑わない向日葵



「そうじゃなくて、向日葵が綺麗なんだって」

「うん、そうだね……え?」


あたしは、花火から視線を嵐君へと向ける。
嵐君は、あたしを真っ直ぐに見つめていた。


「あ、え……?」


嵐君に言われた言葉は聞こえていたはずなのに、意味が頭に入ってこない。


「向日葵、綺麗だ」

「あ、えと……嵐君、目が悪いんだと…思うよ」


あたしも、どうしてこうもごまかすのが下手なんだろう。


真っ直ぐに綺麗だなんて言われると、なんだか照れてしまって、居心地が悪い。


「俺は視力両方1.2だぞ!!」

「そそ、そうなんだ……」


真っ赤になるあたしを見て、嵐君は笑う。


「向日葵、線香花火…しよーぜ」

「え……?」



嵐君は、突然線香花火をしようと言った。
意図が読めなくて、あたしは首を傾げる。



どうして、今線香花火??
話の流れについていけない。



「家帰って、縁側で」

「うん……」


あたしは、有無を言わさずあたしの手を引き、家の方向へと歩きだす嵐君にただついて行った。


その背中を見つめながら、どうして嵐君がそんな事を言い出したのか、見つからない答えをずっと探した。