「い、一生って言ったな?今更取り消すなよ?」
「え、う、うん?」
何故か念押ししてくる嵐君に首を傾げると、嵐君はまたあたしの手を引く。
「お、金魚すくいあるな」
嵐君と、金魚すくいの前にやってくる。
オレンジや赤の金魚達が波紋を避けるように泳ぐ姿が、とても、綺麗で目を奪われた。
そういえば、嵐君に『向日葵、やりたい事はやりたいって言え。俺は、向日葵のしたい事は全力で付き合うし』って言われた事があった。
よし!!勇気を出して言ってみよう。
「……これ、やってみたい」
「!!そ、そうか、ならやろーぜ!」
嵐君に初めて、これをしたいって言った気がする。
嵐君は、なぜか嬉しそうにあたしの手を引いた。
「向日葵、これ網だと」
「うん、薄いね」
あたしは嵐君から金魚すくいの網を受け取り、網と金魚を交互に見つめた。
「よし、大漁決定だな」
そう言って嵐君は勢いよく金魚を掬おうと手を突っ込み追いかける。
すると、金魚達はススッと網をすり抜けて行ってしまう。
「何でだ!?逃げんなよ!」
「そんな無茶な……」
そんな嵐君を横目に、あたしは苦笑いを浮かべる。


