夏の嵐と笑わない向日葵



「本当…ノラにそっくり」

「向日葵、欲しいのはアレでいいか?」


嵐君はノラもどきの人形に視線を向ける。


「え……とってくれるの?」

「当たり前だろ、向日葵の為に絶対とってやるよ」


そう言って射的の鉄砲にコルクをつめて、嵐君は狙いを定めた。そして……。


パンッ!!


「あ!!」


あたしは感激で手をパンッと合わせ、声を上げた。
嵐君の弾は、見事にノラもどきの人形を落としたのだ。



「よし!俺ってば絶好調!ほら、向日葵」

「あ……」


嵐君はノラもどきの人形をあたしに渡す。
それを、ギュッと胸に抱き込んだ。



「あ、ありがとう!嵐君って、すごいね」

「!!」


感激で、嵐君についつめよってしまった。そんなあたしを、嵐君は驚いた顔で見つめた。


「一生、大事にするね…」


すごく、嬉しかった。


ノラにそっくりの人形をとってくれた事もだけど、あたしの為にしてくれた事だから、すごく嬉しかったんだ。


自然と浮かぶ笑みに、嵐君も笑みを返してくれる。