そして、夏祭り当日。
あたしは、髪は横に三編みをして流し、いつものリボンで止め、向日葵の柄の浴衣を着て、玄関の外で待つ嵐君の元へと行く。
暮れ始めた空の下、わずかに残る茜の光に照らされ、嵐君は立っていた。
「お待たせ…しました」
急に敬語になってしまう自分に、「何で?」と突っ込みたいくらいだ。
なんだか、無性に緊張するのは、確実に嵐君が今日をデートみたいだなんて言うから。
「っ……!!」
かという嵐君は、浴衣を着たあたしを見つめたまま固まっており、何も言ってくれない。
お願いだから、何か言ってほしい。
この間に耐えられそうにない。
嵐君に教えた着付けは完璧で、格子柄の浴衣が本当に似合っていてカッコいい。
こんな時、ずるいなぁ…なんて憎らしくなる。
イケメンは何を着ても、着こなしてしまうんだから。
「嵐君、あの……何か言って。ただ見られるのは…」
なんというか、居心地悪い。
「あ、あぁ!!そうだよな、しっかりしろ、俺」
すると、一人でぶつぶつと言って自分の両頬をパンパンッと叩き、何かを決心したようにあたしを見つめた。


