昔、おばあちゃんが線香花火の話をしてくれたっけ。
確か…。
着火から玉が落ちるまでの美しい変化を牡丹、松葉、柳、散り菊 と例えたんだって。
おばあちゃんは本当に物知りで、あたしに色んな事を教えてくれた。
やりたい…なんて言ったら、嵐君嫌かな。
どうせやるなら、もっと派手な花火とかの方が楽しいって思うだろうし…。
「おー、花火じゃん」
嵐君はあたしの背中越しに花火をのぞき込む。
そして、あたしの手にもっていた線香花火を、かごの中に入れた。
「え、いいよ?見てただけだから…」
「線香花火、やりたそうしてたくせに」
「!!」
何で、分かったんだろう…。
あたし、顔にはあんまり出ない方だと思ってたのに。
驚きで、嵐君の顔をジッと見つめる。


