「それ、前も言ってたよな。そんなにか…?」

嵐君は不思議そうな顔で振り返る。


「うん、キラキラしてる」

「へー、そうなんか。自分では分かんねぇ」


まるで、太陽と月が落ちてきたみたい。
それに、嵐君は心も綺麗だ。


「嵐君、嵐君は不思議な人だね」

「なんだよ、突然!」

「うん、嵐君は…今までのあたしの普通を、変えていくの」


そう、一人でいるのが当たり前。
望まないのが当たり前。


そんなあたしに、道を教えてくれるのは、嵐君の言葉だった。


「嵐君が来てから、少しだけ…前を見て生きてるような気がする」


あたしは、嵐君の髪を撫でる。
嵐君は心地良さそうに目を瞑っていた。


「その言葉が聞けて良かった…俺は、向日葵に……」


そう言いかけて、嵐君はそのままあたしの膝に横になった。


「やべ、眠くなって……」

「今日は、たくさん頑張ってくれたもんね」


「向日葵に…」その言葉の続きを聞きたかった気もするけど…。


うとうとする嵐君の頭を、優しく撫でた。
すると、すぐに規則正しい寝息が聞こえる。


「ここに…来てくれてありがとう」


あたしは、そっと嵐君にお礼を言った。


「ニャア」


そして、ノラも嵐君の顔の近くで丸くなる。


ノラも、嵐君にはなついている。
あんなに警戒心が強い子なのに、やっぱり嵐君はすごい。


そんな光景を、温かい気持ちで見つめていた。