ザーッ……。


うるさいくらいの雨音。

濡れる度に冷える体。

濡れた段ボールから聞こえる小さな鳴き声。


「これは……」

「ニャア……」


段ボールから現れたのは、小さな三毛猫。
弱々しく鳴いて、あたしを見上げている寂しげな瞳。



「あなたは……捨てられたの?」


聞くまでもないけど、たぶんこの子は捨てられた。


「あたしと来ても、君が不幸になるよ」


あたしは立ち上がり、そこから離れようとする。


「ニャア……」


でも、その声を聞いたら、足が地面に縫い付けられたかのように動かなかった。



振り返るると、段ボールから顔を出して、あたしを見つめている。



「だって、あたし気味悪いって…」

「ニャア……」


猫は段ボールを出て、あたしの足元へとすり寄ってくる。
雨はあたしも猫もお構いなしにびしょ濡れにした。