「ここは、向日葵のばあちゃんとの思い出でもあるのか?」
「それは……うん、おばあちゃんと…両親の…」
「そっか、向日葵の家族は……」
おばあちゃんから聞いていたのか、嵐君は辛そうに俯いて、よりいっそうあたしを強く抱き寄せた。
「ここは……お母さんの大好きな場所だったの」
嵐君に抱き締められながら、あたしはそう呟く。
嵐君は何も言わずに聞いてくれた。
「空を向くように、いつでも前を向いて歩いて行ってほしい、私は、あなただけを見守るからっていう意味で向日葵なんだって」
「良い名前もらったな、向日葵」
良い名前、本当にそうだ。
空を見て、なんて……明るくて優しかったお母さんらしい。
「うん……。おばあちゃんも、お母さんが好きだったこの場所を守ることで、奇跡を信じていたんじゃないかな…」
待っていたんだと思う。
そして、亡くなった娘とその旦那が顔に見せに来るんじゃないかって…。


