夏の嵐と笑わない向日葵



「向日葵が大事にしてきた花なんだろ!?なんで、こんな事…」

「もういい!!」


あたしはまるで、ぐずる子供のように、叫ぶ。

そんなあたしを、嵐君は驚いたように見つめる。
その視線から逃れるように俯いた。


「こんなモノ……大切にしたって、本当にいてほしかった人達は、帰ってこない!!」


帰ってこない。

お母さんもお父さんもおばあちゃんも……あたしの大好きな人達はもう…。


「向日葵……」


何も言えずにいる嵐君とあたしの間に、そんなの関係ないとばかりに、変わらず風は吹く。


「向日葵は……寂しかったんだな」

「え……」


嵐君は肩からあたしの頭に手を回し、そっと嵐君の胸に引き寄せられる。


香水をつけてるのか、淡いフレグランスの香りがした。