帰らないと分かってても、それでもおばあちゃんは…。
おばあちゃんは、強い。
おじいちゃんに先立たれて、子供にも先立たれたのに、こうしてずっと前を見て生きていた。
自分が辛くても、孫のあたしの前で泣いたりなんてしなかった。
「あ……」
向日葵畑の中を歩いていると、一本だけ枯れかけている向日葵がいた。
「嘘っ……そんな……」
大切に、育ててるつもりだった。
なのに、あたしはその向日葵を枯らしてしまった。
「あぁ……」
何でなんだろう。
あたし、育ててるつもりで、本当は……。
この向日葵畑なんて、無くなってしまえばいいとか、思ってたのかも。
だって、この景色を見る度に、失った人との思い出を思い出す。
「辛いだけなのに……」
枯れた向日葵の前にしゃがみこみ、流れ続けるホースの水も気にせず、俯いた。
ポタポタと涙は土の上に落ちるけど、あたしの涙では足りないほどに、大地は乾いている。


