「向日葵、お前本当に大丈夫か?」 「ん……ごめん」 心配そうにあたしの顔をのぞき込む嵐君に、あたしは頷く。 別に、体調が悪いとかじゃないんだ。 ただ、あの日の幸せな時間に心がとらわれてる。 「ご飯、出来たよ」 「あ、あぁ……」 何事もなく食事を運び出すあたしを、嵐君は困惑したように見送っているのが背中ごしにわかった。 それでも、あたしはこの変な心の動揺を、どうやって嵐君に伝えていいのか、分からなかった。