夏の嵐と笑わない向日葵



「向日葵、お前本当に大丈夫か?」

「ん……ごめん」


心配そうにあたしの顔をのぞき込む嵐君に、あたしは頷く。


別に、体調が悪いとかじゃないんだ。
ただ、あの日の幸せな時間に心がとらわれてる。



「ご飯、出来たよ」

「あ、あぁ……」


何事もなく食事を運び出すあたしを、嵐君は困惑したように見送っているのが背中ごしにわかった。


それでも、あたしはこの変な心の動揺を、どうやって嵐君に伝えていいのか、分からなかった。