太陽が1番高く登る昼頃に、あたしは空港へとたどり着いた。ボストンバッグを片手に、あたしはノラと搭乗口を出る。
「わ……人が、多いね」
「ニャー」
搭乗口を出ると、次々降りてきたお客さんと肩がぶつかる。
さ、さすが東京……。
6年ぶりの東京は、なんだか別世界に見えた。
あたしは、ボストンバッグの上にノラの入ったゲージを置いて、呆然と立ち尽くす。
すると、人混みの中に、ただ1人動かない誰かが視界の中に映った。
「向日葵」
その誰かは、こちらを見つめて、笑顔を浮かべている。
太陽に反射するような金髪に、花咲けるような笑顔。何度も見てきた顔なのに、少し大人びていて、少し違って見えた。
「ずっと待ってた……」
「嵐君、やっと会えた」
嵐君はゆっくりとこちらへ歩みより、あたしの目の前に立つ。
嵐君、また背が伸びた??
前より、見上げる角度が大きくなったように感じる。
「向日葵、また美人になったな。髪、下ろしてるのか」
髪は、あの三つ編みを止めて、下ろしている。
黄色いリボンはもちろん、あたしの手首につけ、肌身離さず、大切にもっていた。