そしてあたしは、高校を卒業した。


残していくおばあちゃんの家を遠縁の親戚に任せ、向日葵畑は去年、最後の種の収穫をして、今年は植えずに閉めた。


嵐君と離ればなれになって1年後。
また、あの暑い夏が来た。


「ふふっ、嵐君、今ごろびっくりしてるだろうな」


あたしは船に乗り、甲板から離れていく自分の生まれ育った島を見つめる。


麦わら帽子を手で押さえながら、これからの事を考える。


1週間後、あたしは新しい就職先、『star☆flower』という東京にある花屋さんで働く。


その為に、船と飛行機を使って、東京へ向かってるのだ。 


嵐君とのやりとりは、あたしがスマホ…携帯電話の類いをもっていないせいで、文通になっていた。


数日前から、東京の空港につくことを伝えたけれど、嵐君はきっと、あたしが東京に来る事に驚いている。