「お邪魔します……」
あ、独特な木の匂いがする……。
中へ入ると、木造で出来た自然を感じさせる工房で、なんだか心が和む。
「適当に見てってよ」
すると、誘った張本人は工房の奥へ入ってしまう。仕方ないので、あたしは飾られた展示品を見て回る事にした。
「すごい………」
これ、全部田中さんの手作りなんだ。
シンプルなモノから、可愛らしいモノ、派手めなモノまで、様々なシルバーアクセサリーが並んでいる。
「お待たせ、アイスコーヒーとか飲める?」
戻ってきた田中さんは、どうやらあたしの飲み物を準備してくれていたみたいだった。
「はい、ありがとうございます」
カランッ
アイスコーヒーを受けとると、氷のぶつかり合う、良い音が鳴る。綺麗な音だな、そう思った。
「その指輪………」
アイスコーヒーを受け取ったあたしの右手を見つめて、田中さんが驚いている。
「あ……これ、誕生日プレゼントで」
なんとなく、彼氏から貰って……と言うのが恥ずかしくて、濁して伝えた。


