8月30日。

いよいよ明日、嵐君が帰ってしまう。

始めは、嵐君がいる事を、良く思ってなかった。


なのに、いつの間にかあたしは……1日1日が惜しくて、夏休みなんて終わらなければいいのにって何度も思うようになった。


なのに、今日は心に反した青空で、とても暑い。

何か特別な事をするでもなく、あたし達は今までの日課を続けている。


ジャーッ


「………………」


ホースから流れる水をボーッと見つめる。

いつもなら、向日葵にかかる虹に心踊るのに、今日は近づく終わりに心がもっていかれる。


「向日葵……」


嵐君は、あたしが持つホースをとって、そっと抱き寄せてくれる。


嵐君も、同じように別れを惜しんでくれているのだと分かった。



「ここの向日葵は、綺麗だな……」

「うん……夏になると、ゆらゆら揺れて、まるで光の海を見ているみたいだなって思ってた」


あたしは、嵐君と寄り添って、風に揺れる向日葵を眺めた。

この手で育てて、ここまで立派に育てた向日葵達。


今までは、ただ罪滅ぼしの為に育てていたけれど、今は、こんなにもこの向日葵達を愛しく思える。