夏の嵐と笑わない向日葵



「帰ってきてくれて……ありがとう」


あたしは、ギュッと嵐君に抱きつく。
すると、嵐君に頭を優しく撫でられた。


「俺の帰る場所が、向日葵なんだよ。心配させて、悪かった」


嵐君の額と、あたしの額がぶつかる。
そして、目か合った途端に、お互い笑みが零れた。


「俺たち、またびしょびしょだな」

「そういえば、前にもこういう事あった」


嵐君がここへ来てそんなに経っていない頃。

ノラがいなくなってしまった時にも、こうやって2人雨に打たれたっけ。



「つうか、向日葵連絡先教えてくんない?」

「うん?047……」

「固定電話じゃなくて、スマホ!L○NEとかしてねーの!?」


スマホ……携帯だよね??
そういえば、必要性感じなかったから、持ってなかったな。



「えーと、一度ももった事ない」

「ええ!?現代人か、本当に!?」


嵐君に驚かれながら、あたしは嵐君に向き直り、笑顔を浮かべる。


「お帰りなさい、嵐君」


そうだ、あの時もこうやって、嵐君とノラを迎えた。


「ただいま、向日葵!」


二ッと笑う嵐君に、ようやく安心したあたしは、笑みを返したのだった。