「どうした!?何かされたのか!?何で泣いてんだよ!?」
慌てる嵐君に、あたしは首を横に振る。
「ううっ、嵐君がっ……いなくなっちゃうかと思ったのっ…」
まるで、幼児に戻ったかのように泣きながら、自分がどうしようもないくらい嵐君が好きなんだと自覚する。
「向日葵……俺が、何も言わずに居なくなるわけねーだろ」
「でも、不安だったの。だって…この夏が終わったら、嵐君はっ……」
「っ……不安だ……俺も」
すがりつくあたしの手と、抱き締める嵐君の腕にも力が入る。今は、少しも離れたくなかった。
「向日葵美人だし、あの勝俣って男も油断ならねーし、何より、ここで1人なのがすげー心配なんだよ」
び、美人かどうかは分からないけど……。
あたしも、嵐君は魅力的すぎて、あたしより素敵な人が現れて、離れていったらって不安になるよ…。
「あたしは…嵐君が好きだよ。他の誰でもなくて、嵐君が…。だから、離れていかないで、ずっと…」
ずっと一緒にいて。
そう言おうとして、すぐにくる別れに、躊躇ってしまう。
「ずっと一緒だ……向日葵。距離が遠くても、また必ず向日葵に会いに来る。だって、俺は初恋からずっと向日葵を好きだったんだぞ」
あたしが言えなかった言葉を、嵐君が言ってくれた。
そう言って笑ってくれているのに、切なさが伝わる。


