夏の嵐と笑わない向日葵



「違っ、そういう意味じゃ……」

「なら……ならっ……」


どういう意味?
ポタポタと流れ落ちる涙で、嵐君の顔が歪んだ。


「向日葵、俺……ごめ、言い過ぎた……」

「それが本音……だよ」


嵐君は、いつもまっすぐだ。
だからこそ分かる、今の言葉が、本当の事なんだって。


「ねー!!嵐、何やってんのー!」


すると、遠くからパタパタと駆けてくる愛美さんが見えた。


ズキンッ


また胸が、心が軋む音がする。
痛い、苦しい、悲しい……。


「嵐、急にいなくなるからビックリしたじゃん!早く戻ろうって………何この空気」


愛美さんは怪訝そうにあたし達を見渡す。
そして、あたしと勝俣君を見てニヤニヤと笑った。


「へー、男いたんじゃん。ヨカッタネ」

 
棒読みでそう言って、愛美さんが嵐君の手を引いた。だけど、嵐君はテコでも動かない。


「ねぇ、嵐?」

「悪い、今は向日葵を置いていけねー。戻るなら1人で戻れ」


嵐君は地面を見つめたまま、少し強く愛美さんの手を振りほどいた。


それに、愛美さんが悲しそうな顔をする。