「勝俣君は……難しい事を言うんだね。だけど、なんとなく……分かる気がする」
「まぁ、全部自分に言ってやりたいんだけど」
いつの間にか、向き合って話していた勝俣君とあたしは、顔を見合わせて小さく笑う。
そんな勝俣君を見ていたら、勝俣君にも、そんな風に想う、好きな人がいるんじゃないかと思った。
「勝俣君にも……」
そんな人がいるの?
そう聞こうと口を開くと、勝俣君が、あたしの後ろを見つめている事に気づいた。
「勝俣君、どうかし……」
「良かったな……想われてるみたいだ、加島」
そう言って立ち上がる勝俣君を、呆然と見上げる。
「え……?」
そして、振り返ると、そこには……。
「……っ……向日葵」
肩で息をする、嵐君がいた。
走ってきたのか、汗をかいてる。それを拭う事もせずに、あたしを見つめていた。
「嵐君……どうして…」
皆と海に行ったはずなのに、ここにいるのはどうして?
まさか……まさか、あたしを心配してきてくれたのかな。
そう考えて、すぐにそんな期待を消した。
それで、ただ荷物を取りにきただけとかだったら、辛いから。
「向日葵、そいつ誰だよ?」
嵐君の目は、いつの間にか勝俣君へと向いていた。心なしか、怒っているようにも見える。
「初めまして、俺は勝俣 悠生。加島とは、同じクラスなんだ」
勝俣君はその視線を特に気にするでもなく、至って普通に自己紹介をした。
あたしはというと、驚きで座ったまま立ち上がれずにいる。


