夏の嵐と笑わない向日葵



「あたしが、嵐君と出会ったから…今のあたしがいる」


あたしの…心の鎧を壊して、温かくて強い腕で抱き締めてくれた人。


あたしの、孤独を埋めてくれた人。


「……大切な人なんだな」


大切な人……。
生まれて初めて出来た、家族以外の大切な人。



「うん……」


そう返事をして、あたしは俯く。



だけど、その大切な人を、昨日は怒こらせてしまった。


『分かんねーよ、俺は…エスパーじゃねぇんだ』


あの、怒ったような、悲しさを含んだような震えた声でそう言った嵐君の言葉を思い出す。


「なんだ、なのに悲しそうだな」

「……嫌われちゃったかもしれないから」


あたしの事、もうどうでもよくなっちゃったかな。
愛美さんの方が……。


「どうしてそう思うん」

「嵐君は、東京の人なの。だから、夏休みの間だけしか、ここにいれなくて…」


あたしは、嵐君と、嵐君の友達の事、愛美さんという嵐君の事が好きな女の子がいるという説明を簡単にした。


「あたしには…この場所にある大切なおばあちゃんの家を残してはいけない。愛美さんには、全てを捨てる覚悟が無いなら、嵐君を好きになる資格はないって…。でも、本当にその、通りだと思ったんだ」


自分でも、どうして勝俣君にこんな事を相談してるのか、分からない。


でも、勝俣君は……話しやすかった。