「あたしも……勝俣君はどこか自分に似てる…そう思ったよ」
理由は分からないけど、勝俣君にも、そんな風にならなければ生きていけない理由があったんじゃないかって思った。
「そう…でも、今は違うみたいだ」
「え……?」
「夏休みの間に、何があったん?」
夏休みの間に……。
あったとしたら、嵐君と出会った事だと思う。
嵐君は、あたしに誰かを好きになる…恋を教えてくれた。あたしは、誰かに想われる幸せを知った。
だからこそ、あたしは人間らしく、感情を出せるようになったんだと思う。
人は、幸せじゃなくなった時、とても辛い事があった時、その寂しさや痛みを感じないように、心に殻を作る。
そして、その殻はいつしか鉄の鎧になるんだ…。
どんな言葉の刃もきかない……ふりをする鎧。
本当は傷ついているのにも気づかなかった。
「あたしを変えるような…嵐が来たの」
「へぇ、嵐……」
勝俣君は興味深そうにあたしの話に耳を傾けてくれる。
「その人は、真っ直ぐで、嘘が無いから、自分に向けられる感情がダイレクトに伝わるの」
嵐君……。
好きなものは好き、嫌いなものは嫌い。
想いは、頭で考えても分からないって、ダメだった時は、ダメだった時に考えればいいって、教えてくれた。
「そうしたらね……いつの間にか、自然に気持ちが前に出るの」
そう、きっと……。
勝俣君が、あたしを変わったと言うのなら……。


