「加島……何かあったんか」
「え……?」
海の方角から、勝俣君へと視線を向ける。
「心ここに在らず」
「あ…はは、…ご、ごめんなさい」
あたし、勝俣と話してるのに、考えてる事は嵐君の事ばっかりだった。
「ふっ……」
「え……」
苦笑いを浮かべると、勝俣君は本当にかすかに、小さく笑った。その笑みに目を奪われる。
勝俣君、笑うんだ……。
初めて見たかもしれない。クラスの女子が見たら歓声が上がるほど貴重な1ショット。
「加島、そんな風に笑えたんだな」
「え?」
それは、あたしが勝俣君に対して感じたものと同じだった。
あたしは今、勝俣君に向けて笑ってた?
「加島は、俺と同じだと思ってた」
「……感情の欠けた目」
あたしは、ぽつりとそう呟く。
すると、勝俣君は少し目を見開いて驚いた。


