「ニャー」
門の外で立ち尽くすあたしの足元には、ノラがいた。
「心配かけてごめんね」
「ニャー」
ノラは、あたしが寂しい時に必ずと言っていいほど、傍にいてくれる。
やっぱり、あたしはノラとここで静かに暮らしていたほうがいいんだ。
高望みなんて……。
「いつの間に、こんなに欲張りになっちゃったんだろう」
もう面影も残らないのに、海の方角を見つめて、一人呟く。返事なんて、返ってくるわけないのに、問わずにはいられなかった。
「加島?」
一瞬、空耳かと思った。
近所付き合いなんてろくにしてないのに、誰??
「あ…私服で分からん?俺、勝俣」
「え……」
勝俣 悠生??
物静かで口数も少ないけど、クラス一頭が良くて、顔もいい女の子達に人気の男の子。
いつもは学校でしか会わないから、分からなかった。
今日は、ラフな白いYシャツにジーンズを履いている。
サラサラとした黒髪と、感情に乏しいあたしに似た瞳と目が合った。


