しばらくして、あたしは縁側へと戻った。
あんな状態で、皆の元へは戻れなかったから。
どれくらい台所にいたかはわからないけど、おかしい、縁側から人の声がしない。
「あ………」
その理由は、居間へ戻ってすぐに分かった。
長旅で疲れたのか、皆居間の畳みの上で雑魚寝している。
嵐君と愛美さんも、近くで眠っていた。
「嵐君……」
お願い、気づいて。
あたし、こんなに胸が苦しいんだ。
嵐君の傍にいられない事が、いつかくる別れが、本当に辛いんだ。
眠る嵐君に、心で訴える。
それに、気づくわけはないけれど、本当に悲しかった。
「ニャー」
ノラはそんなあたしを慰めるように足にすり寄ってくる。
「ありがとう、掛け布団…持ってこなきゃね」
あたしは、泣きそうになるのを堪えながら、掛け布団を持ってくると、皆にかけた。
そして、あたしは居間から縁側へと出て、欠けた月を見上げる。


