夏の嵐と笑わない向日葵



「はじめまして、加島 向日葵といいます。どうぞ、上がって下さい」


そう、いたって普通に挨拶したつもりだった。なのに、皆は驚いたようにあたしを見つめる。


「あの……」


不思議な沈黙に首を傾げると、「おぉーっ!!」と明るい感じの男の子が感激するような声を上げた。



え、何!?
どうして、そんな感激されてるのかが分からない。



「美人なだけじゃなくて、清楚系とは!!」


清楚……??


あたしは自分の格好を見下ろす。

紺地のむしろ地味めなワンピースにいつもの三つ編みをとめる黄色いリボン。


これは、清楚ではなく地味子だ。


これなら、愛美さんの方が……。


今時の、都会の女子高生らしい髪色や化粧。

ピアスやジャラジャラとしたアクセサリー類、ミニスカートがとても可愛くて、あたしの田舎っぽさが目立つ。


あたし、全然お洒落しゃない……。
東京には、もっと可愛い子がたくさんいるんだろうな。
あたしなんかより……。