夏の嵐と笑わない向日葵



「俺、向日葵に話したい事がある」

「嵐君…?」


線香花火をする手をとめて、嵐君は真剣な瞳であたしを見つめた。


「俺が、どうして向日葵んとこ来たのか、ちゃんと話してなかったろ」


「あぁ……」


そういえば、気にもとめてなかった。


杏さんの手紙では、おばあちゃんから嵐君に手紙を送った事と関係があるって…。



「俺が中学3年生の時、雅子ばあちゃんから、俺当てに手紙が届いてさ」


嵐君はそう言って少し俯く。


そんな嵐君が心配になって、顔をのぞき込むと、嵐君は悲しげな顔をして、地面を見つめていた。


「雅子ばあちゃんは、ガンだったけど、自由のきかない病院のベッドで死ぬより、向日葵の傍で、残された時間を生きたいって書いてあって…」


「おばあちゃん……」


一緒にいる時は、そんなの微塵も感じさせなかった。

少し痩せ細ったとは思ったけど、いつだって笑顔を絶やさない人だったから…。


「ただ、雅子ばあちゃんは向日葵を残して死ぬ事が、すげぇ心残りだったんだ。両親も、もういないからって」

「うん……」


そうだ。
そうして、大切な人たちはあたしの傍からいなくなってしまった。


「おばあちゃんが死んだ日から、あたしはまた一人ぼっちになった」


あたしは、それを自分のせいだと思った。
あたしが、皆を不幸にするんだって。