朝、目が覚めると、郵便屋さんの実卓 透(みたく とおる)さんの声が聞こえた。


「向日葵ちゃーん、手紙が届いてるよー!」

「ん……手紙??」


あたしは布団から出て、手ぐしで髪を整える。
いつの間に起きたのか、ノラはいなかった。



「実卓さん、手紙って…」


あたしは寝巻きの白いワンピースのまま、実卓さんから手紙を受けとる。


宛先は間違いなく"加島 向日葵様"あたしだ。
差出人は……。


「三木 杏(みき あん)……?」


え、誰だっけ??
杏……杏……。


あ、確か昔に杏って親友がいるっておばあちゃんが言ってた気がする。


「でも、何でその杏さんから手紙が……」

「それじゃあ、また来るね、向日葵ちゃん」


実卓さんはそう言って配達に戻る。
あたしは、その手紙を見つめながら首を傾げた。