レーザービームの王子様

悶々としている私の心情を知ってか知らずか、涼しい顔で久我さんは続けた。



「もういい大人なんだし、たとえ女といるところを撮られたとしても、試合で結果さえ残してれば文句なんて言わせない。……けどまあ、」



そこで彼が言葉を切り、視線を斜め下に落とす。

つられてその先に目を向けた私が見たのは──いまだしっかりとつながれたままの、久我さんと私の手。



「これじゃあちょっと、弁解の余地ないかもなあ」

「……ッ!!」



彼のセリフが終わるか終わらないかのところで、弾かれたように手を放した。

真っ赤な顔でわなわな身体を震わせる私を見下ろし、久我さんは意地悪く笑っている。



「なんだ、やめるの? 残念」

「……っ帰りましょう!」



こういうときは、逃げるが勝ちだ。私はくるりと方向転換し、背を向けて歩き出そうとした。

だけど不意に、背後から右手を捕らえられて。飛び上がるんじゃないかと思うくらい、驚いて足を止める。



「待ってすみれ。せっかくここまで来たんだから、もうちょっと付き合ってくれない?」

「ど……どこへ?」



おそるおそる振り返ってみれば、頭上には極上の笑顔。

彼はある方向を指さして、小さく首をかしげた。



「さっき飯食った個室よりも狭くて……ホントのふたりっきりに、なれるとこ」