「で? なんで急に、走り出したんだよ」
背中を撫でながら、やさしいトーンの声音で訊ねられた。
走ったせいじゃなく、体温が上昇する。顔を見れないまま、なんとか言葉をしぼり出した。
「さ……さっき、すれ違った人。久我さんに気付いて、写真撮ろうとしてたから……」
「あー、カップルの男の方? 一瞬目ぇ合ったんだよな」
多少うろたえるかと思ったのに、そう話す久我さんは飄々としたものだ。
私は唖然と、彼を見上げる。
「え……それだけですか?」
「別に、やましいこと何もないし。いーんじゃない写真くらい」
「よっ、よくないですよ……!」
がばっと勢いよく半身を起こせば、久我さんが若干驚いた顔をした。眉をつり上げて私は続ける。
「あのですね、今の時代ツイッターやらフェイスブックやらインスタグラムやらで簡単に拡散されちゃうんですよ?! わ、私と一緒にいるところなんか撮られたら……っ」
「あーごめん。すみれは嫌だよな」
「そうじゃなくて……! 久我さん、有名人なんだからマズイでしょ!?」
そこまで言って、ようやく彼は私の言わんとしていることに気付いたらしい。
あくまで大真面目な私をぽかんと数秒見つめたかと思えば、その後堪えきれないといった様子で吹き出す。
「ふっ、……なんだ、そういうこと。別に俺アイドルでもないし、週刊誌にツーショット載るくらい全然平気なのに。並んで歩いてたくらいなら、言い訳なんていくらでも立つし」
「え……そ、そうなんですか?」
思いもよらない発言に、私の方がうろたえてしまう。
でも、だって、マズくない? 私みたいな一般人と、プロ野球界でスーパースターな久我さんがツーショットってさあ!
背中を撫でながら、やさしいトーンの声音で訊ねられた。
走ったせいじゃなく、体温が上昇する。顔を見れないまま、なんとか言葉をしぼり出した。
「さ……さっき、すれ違った人。久我さんに気付いて、写真撮ろうとしてたから……」
「あー、カップルの男の方? 一瞬目ぇ合ったんだよな」
多少うろたえるかと思ったのに、そう話す久我さんは飄々としたものだ。
私は唖然と、彼を見上げる。
「え……それだけですか?」
「別に、やましいこと何もないし。いーんじゃない写真くらい」
「よっ、よくないですよ……!」
がばっと勢いよく半身を起こせば、久我さんが若干驚いた顔をした。眉をつり上げて私は続ける。
「あのですね、今の時代ツイッターやらフェイスブックやらインスタグラムやらで簡単に拡散されちゃうんですよ?! わ、私と一緒にいるところなんか撮られたら……っ」
「あーごめん。すみれは嫌だよな」
「そうじゃなくて……! 久我さん、有名人なんだからマズイでしょ!?」
そこまで言って、ようやく彼は私の言わんとしていることに気付いたらしい。
あくまで大真面目な私をぽかんと数秒見つめたかと思えば、その後堪えきれないといった様子で吹き出す。
「ふっ、……なんだ、そういうこと。別に俺アイドルでもないし、週刊誌にツーショット載るくらい全然平気なのに。並んで歩いてたくらいなら、言い訳なんていくらでも立つし」
「え……そ、そうなんですか?」
思いもよらない発言に、私の方がうろたえてしまう。
でも、だって、マズくない? 私みたいな一般人と、プロ野球界でスーパースターな久我さんがツーショットってさあ!



