レーザービームの王子様

その後しばらくして水族館を出た私たちは、久我さんが予約してくれていたお店でディナーにした。

プロ野球選手が予約するところなんてどんだけブルジョワな店かと思いきや、意外と庶民派のこじんまりした割烹料理屋さんで。

素直に「意外でした」と伝えてみれば、「すみれはこういう店のが好きそうかと思って」と久我さんは笑う。……まさにその通りだったのがまた悔しい。言ってやらないけど。



「久我さんすみません、ごちそうさまでした」



お店を出てどちらともなく歩き出したところで、私は彼に軽く頭を下げた。

久我さんはすでに何度もあの店を利用しているらしい。店員さんが通してくれたのは1番奥まったところにあるお座敷で、ふすまも閉め切り個室にしてくれた。

提供されたのはコース料理だったんだけど、そのどれもがおいしくて。

個人的にまた来たいなあと、こっそり思ってしまうほどだった。


私のお礼を受けて、久我さんがゆるく口角を上げる。



「いーえ。というかこないだのお礼だしな。すみれは別に飲んでもよかったのに」

「いやいやいや……」



彼の言葉に、右手と首をぶんぶん横に振った。

おごりだとわかっていて、しかも自分ひとりだけお酒を堪能するのはさすがに気が引ける。

板前さんがいるカウンターの後ろにずらっと並んだお酒のラインナップは、大変魅力的ではあったけど。