レーザービームの王子様

久我さんは動揺する私の心情を知ってか知らずか、微笑みを崩さないままさらに耳元へと顔を寄せてくる。



「耳、真っ赤。ほんとに男慣れしてないんだな」



直接脳内に響く低い声に、ぞくりと背筋が粟立った。

なんなの、この雰囲気。私たちのまわりだけねっとりと絡みつくように、空気の密度が濃い気がする。


……熱い。耳も、頬も。

久我さんから感じる、視線も。



「……ッき、気のせいです」

「強気なくせにウブとかいいな。すごくそそる」

「な……っアホですか??!!」



とっさに大声を出しかけるのをなんとか抑え込みつつ、噛みつく勢いで非難した。

そのとき真っ赤になっているであろう顔をつい向けてしまい、内心『しまった』とは思う。

けれど、今さら後に引けず正面から睨みつけることはやめなかった。

そんな私の様子に、久我さんはやっぱり笑って。



「はは、……冗談だって」



そうしてあっさり、近付きすぎていた身体を離す。



「ほんと、すみれってからかい甲斐あるな。いい反応してくれんだもん」

「……ッいい反応なんて、してるつもりないですが!」

「だから、そういうとこだって」



さっきまでふたりの間にあった熱なんて、微塵も感じさせない。拍子抜けするくらいの涼しい顔で、久我さんは意地悪に笑う。

私だけがムキになってるみたいだ。そんな自分が恥ずかしくて、こっそり深呼吸しながら体内の熱を逃がす。