レーザービームの王子様

どうして久我さんは今……こんなにさみしそうな表情を、しているんだろう。



「……あの日、何かあったんですか?」



気付けば、そんなことを口走っていた。

言ってしまってから、出過ぎた真似をしたと後悔する。

彼は一瞬驚いたような顔をした後、ふっと肩の力を抜いて口元を緩めた。



「──何も。ただちょっと、飲みながら昔のことを思い出して感傷的になってただけだ」



それ以上は、訊けない言い方だった。

感じているもやもやが表に出ていたのか、「そんなカオすんなよ」と軽く頭を小突かれる。


……『そんなカオ』って、どんなだ。恐いカオしちゃってたかな。

むにむにと自分の両頬を手でほぐしつつ、再び久我さんに背を向けた。


変なの。どんなブサイクな顔見られたって、関係ないはずなのに。

久我さんが相手だと、無性に恥ずかしい。

……こんなの、やっぱり私らしくない。たとえよく知らない男の人と対峙しても、どんな変顔だって辞さないのが深町 すみれでしょう?

だというのに、何よこの体たらくは。いちいち久我さんの反応気にして、全然自分のペース保ててないじゃないの。


よし、と心の中で気合いを入れて、うつむいていた顔を上げる。

そうしてまた後ろの彼を振り返ろうとして──はたと、動きを止めた。