レーザービームの王子様

「ふーん、そうなんですね。でも久我さんなら、彼女ではなくても日本各地の遠征先に遊んでくれる現地妻的な存在がいそうです」

「待て、すみれの中で俺は一体どういうイメージなんだ……」



引きつった顔で言われるけど、仕方ない。だって、いかにもモテそうなんだもん。

遊びってわかってても、久我さんと一緒にいたい女の人はたくさんいるんじゃないの?


肩を落として私にジト目を寄越していた彼が、ふっと、小さく息を吐いて前に向き直った。



「言っとくけど。一度すきになったらドン引きするくらい一途だよ、俺は」



今度は、苦笑いでもない。なぜか嘲笑ともいえる表情。

その横顔に、どきりとする。



「……へぇ。『ドン引き』」

「まったく信用してないな……」



うんざりした顔で再びため息をつく久我さん。そんな彼を、こっそり横目で見つめる。


……なんだか今日は、あまり嫌味な態度とって来ないな。

もしかして、今回のお出かけがこないだの謝罪兼お礼って名目になってるから……久我さん、大人しくしてくれてる?

さっきも、服装のこと褒めてくれたし。知れば知るほど、案外いい人なのかなって思う。

というか、考えてみれば最初に嫌な態度をとったのが私の方だもんね。……意地悪されたりしても、文句言えない立場じゃん……。



「結構薄暗いから、足元気を付けて」

「あ、はい」



水槽が並んだフロアに足を踏み入れたとたん、久我さんが抑えた声音で話しかけてくれる。


……かっこよくて、プロ野球選手で、実は案外イイヒト。

この人が、一途に想いたくなる女性って。

それは一体、どんなひとなんだろう。